美味しいものが、たべたい__。

こんな気持ちはふとしたときにわいてくるようで、
しかも美味しいものが”具体的にいうとなにか?”となると自分でもつかめていないことがほとんど。

そんなある日、
友人が”ここ知ってる?”と
和歌山市内の旬が詰まった料理を食べさせてくれる【食堂ことぶき】さんを教えてくれました。
名前は知っていたけど、どんなものをたべさせてくれるのかはネットで情報をキャッチしていただけだったので期待ばかりがふくらんでいた私は、友人の言葉に少しかぶせぎみに答えました。
「知ってる、すごく食べてみたい!」

食堂に足を運ぶことも考えたけれど、やっぱりテイクアウトにしようかということになりました。当日、友人がことぶきさんでお弁当をピックアップしてきてくれて、友人宅のリビングにて念願の”ことぶきタイム”。
まずその佇まいに魅せられました。

その包まれたお弁当の美しさよ…!

外見だけでこんなに盛り上がってしまう私たちもどうかと思いながら、フタを開けてみると…
やさしい彩りのものが所狭しとぎっしり詰まっています。

キャーキャー奇声をあげながら、空腹のことなど忘れ、しばし撮影タイム。

どれから食べよう、なんて悩みながら一つずつあじわってみる。
一緒に食べている友人も、おしゃべりしながらじっくり堪能している様子。
最近話せていなかったお互いの家族のことや、勤め先のおかしな同僚の話題にいたるまで、おしゃべりは尽きません。

ここ1年程外食も以前より控え、身体も心も美味しいもの、きれいなものを欲していたんだろうなと、満たされていくお腹を感じながら気づいたのでした。
ことぶきさんのお弁当でこんなにも季節や素材を感じられるなんて、不思議でした。日々のあわただしさでささくれていた心がウソのように、春を感じたのです。

 

 

きっと【食堂ことぶき】さんの作り手さんたちは、味付けや盛り付けはもちろん、手渡したお弁当のその先のひとときや充実感に思いをはせながら、今日も誰かのためにひとつひとつ心を込めて1つのお弁当を送り出しているんだろうなぁと思います。

移り変わりの激しい世の中に身を置いて、”もっとこうしないと”、だったり、”これが足りていないんじゃないか”、なんて自分をせき立ててばかりじゃなく、たまには何かをしっかりあじわう時間も必要だな、と感じました。

そしてそれはきっと、また他の誰かが身近にあるものをしっかり味わうきっかけにもなっていくのでは、思ったり。

春は新しいことが始まったり、あわただしくなってしまいがち。

目で見て、あじわって、自分の栄養に。
またそこから始められる気がします。

 

 


お茶とごはん 食堂ことぶき
和歌山市畑屋敷葛屋丁22