スタッフS

小学生の頃、家の絵を描くのが好きでした。

最初は、お姫様の住んでいるお城や少女漫画に出てくるような豪邸に憧れ、こどもながらに考えつくかぎりのゴージャスな家の外観を想像して。
だいたいは大きな二階建てで屋根裏部屋付き・格子窓の洋風な家で、定規を使ってまっすぐに線を引くなど丁寧に、飽きずに何枚も描き続けていました。
そしてときどき新聞のチラシに入っている、住宅メーカーの家の間取り図を見るのが楽しみで、そこに家具やグリーンを描き込んで遊んでいました。
少し成長してからは、大人になった自分が暮らしたいマンションの部屋の理想の間取りを描いたりも。

実家では自室の模様替えも頻繁にしていました。
部屋の中でタンスやベッドをあらゆる場所に移動させ、やっていないパターンはないくらい。
できるだけ部屋を広く使えるように配置したり、ベッドを部屋の真ん中に置いてベッドを主役にしたり。

今も映画やドラマに出てくる家や部屋を見るのが大好きです。
映画では、「西の魔女が死んだ」のおばあちゃんの家、「プール」のタイのホテル、「めがね」の台所と食卓、「恋するベーカリー」のキッチンやベーカリーの内装などが素敵でした。
緑がいっぱいの家や草屋根が好きなので、「ロード・オブ・ザ・リング」に出てくる、緑に埋もれたようなホビットハウスにはうっとりしてしまいます。
「アルプスの少女ハイジ」の、秘密の部屋みたいな屋根裏部屋にも憧れます。
あの干し草のベッドがふかふかで気持ちよさそうで、丸い明かりとりの窓から星空を眺めてみたい。
「塔の上のラプンツェル」の塔も素敵。
外に出ることを禁じられているラプンツェルが、窓辺にお花を飾ったり壁に絵を描いたりと、自分が心地よく暮らせる場所にしているのが好きです。

結婚して数年後、自分たちの家づくりをすることになり、昔からの趣味とこだわりが爆発。
地元の工務店さんでの自由設計だったので、ありがたいことに希望の間取りを描かせてもらいました。
毎日夜遅くまであれこれ悩みつつ、こどもの頃から大好きだった家づくりの想像を現実にする、とても楽しい時間でした。
おしゃれでかっこいい家とはいきませんが、今の自分たちが暮らしやすい家ができたんじゃないかなと思います。
ただ、狭くてもいいから自分の部屋を作っておけばよかったと悔やんでいます。
(夫の部屋は作ってもらったのに…)
どこかにリラックスできる自分の定位置を作れないかと現在模索中です。

先日、お気に入りの本を見つけたのでご紹介します。
「ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集-」
住んでみたい”空想の家”が30点以上収録された美術設定集です。
グリム童話「白雪姫」に出てくる七人のこびとの家や几帳面な魔女の家、水車小屋やツリーハウスなど、見ていてわくわくする家がたくさん。
絵本のような美しい絵と、それぞれの家の設定も楽しいです。
想像を膨らませてくれる、素敵な本ですよ。